"文学少女"と死にたがりの道化(ピエロ)
ヒノ君から熱烈な推薦を受けたので読んでみる。
- 作者: 野村美月,竹岡美穂
- 出版社/メーカー: エンターブレイン
- 発売日: 2006/04/28
- メディア: 文庫
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聞けば「このライトノベルがすごい2009」の1位だと言う。
自分、この雑誌はちょっと信頼してたり。
自分の好きな戯言シリーズは2005年の2位、そして2006年の1位。
ちなみにハルヒが2005年の1位で、2006年の2位。
そしてこの文学シリーズは、2007年で8位、2008年で3位、そして2009年で1位。
いやね、初登場1位なら難しくないんですよ。設定+話題性でもっていける。
しかし、3年かけて返り咲きというのはやっぱ実力によるもんでしょ。
そういう思いながら、「このライトノベルがすごい」を立ち読みしてると、作者インタビューがある。
どうやら、作者は女性で、しかも文学部が舞台の学園ものらしい。
・・・・・一気にさめました。
ライトノベルは、魔法+学園+少女が定番物。そしてラブコメ、萌え・・・だけど女性作家ならそれにこびず書く
だから、そういうのが嫌いな層を集めての結果・・・・・と。
また、文学部が舞台とすれば、小説重視、ならば、小説愛好家にうけるのは当然・・・と。
そんな裏読みをしてしまって、一気にさめる。
なので、ヒノ君に確認のメールをとる。
いや、そこまでする理由は先日紹介した『とある魔術の禁書目録』、あれが失敗だったんですよ。
1巻は、設定がよかったから文章力がほとんど気にならなかったんですが
2,3巻と劣化して、はてには4巻では読者おいてきぼりのなんちゃってミステリ、借り物出なければ投げつけてました(
まぁ5巻で少しマシになったんでよかったんですが・・・金を払ってまで同じ過ちはしたくない。
結局ヒノ君が太鼓判を押したから購入。
で、読む。
面白い。素直に面白い。
この面白いはコメディの面白さじゃなくて(それも少しはありますが、人間の心理、性質的に見た場合の面白さ。
文章は主人公による自分視点に簡潔しており、読みやすい。ハルヒ、戯言シリーズと、まぁ慣れてるのもありますね。
設定も主人公、ヒロインともにぶっとんだ設定をもっているし、十分奇抜。
内容も、冒頭の
恥の多い生涯を送ってきました
で引き込まれる。まぁ、太宰だったよな、確かこれ。って程度でしたが、最初は
しかし、半分位して、ミステリの展開になる。
しかも、『人間失格』が重要っぽい。
『人間失格』・・・・中学か高校の時に読んだ記憶はあるが
流し読みだったのか、暗い、としか印象に残っていない。
原作厨の自分にとっては、原作、元ネタをしらないのはつらい。
なので、今読んでいこの『"文学少女"と死にたがりの道化(ピエロ)』を放置して読み漁ることにする。
こういう時に便利なのが青空文庫。著作権と戦ってる団体に乾杯。
http://www.aozora.gr.jp/cards/000035/card301.html
・・・・・
だめだ主人公に共感できるようになってしまってる自分がいる
・・・大人になったのかな、いや、ダメ人間になったのかな・・・
こりゃ、最近小畑の絵で売れに売れてるのがわかりますね・・・・
50年前の小説なのに・・・なぁ・・・
とか、思ってその後、目的の本に戻ったら
数年ぶりに読んだ『人間失格』は、やっぱり苦しくて救いのない話だったけれど、数年の間に、ぼくもそれなりに大人になりスレてしまったせいか、あの頃読んだときよりも主人公の気持ちが理解できるような気がした。
ああ、これは自分にも覚えがある。自分もそうだった。そんなふうに考えて、話に引き込まれている自分に気づいて、ドキッとした。
と一文があって、納得。先読みされてました(
その後もところどころ『人間失格』からの引用が出てきて予習もばっちりだったね!
ミステリとしてもまぁ微妙に納得できない部分もあるけど満足。
うん、よって全体として、お腹いっぱい、おいしくいただけました。
普通に続編も全部買っていくと思います。
その前に予習するか・・・
にゃぁ、青空文庫にない・・・んー・・・図書館か・・